1日1時間でぐんぐん上達する基礎練習5つのコツ


 忙しい中時間を見つけてフルートを一生懸命練習しているのに、なかなか上達せず、伸び悩みを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

フルートが上達するとはどういうことかというと、

  1. 音楽表現がより豊かになる
  2. フルートをコントロールする技術が上がる

という2つの点があげられます。

音楽表現がより豊かになるためには、いろいろな音楽や芸術を鑑賞して感性を磨いたり等々、様々な人生経験を通じて成長するので、一朝一夕にどうにかすることはできません。

しかし、楽器のコントロールに関しては、基礎練習をすることで短い期間で上達することができるでしょう。

では、具体的に毎日どのような練習をどのくらいすれば良いでしょうか。

今回の記事では、1日1時間でできる基礎練習の方法についてまとめてみました。

基礎練習は何をすれば良い?


基礎練習を毎日続けるために最も大切なことは、継続して練習すること、そして無理をしすぎないことです。

難しすぎる事を毎日行うことは不可能です。

あまりに難しい課題を自分に課してしまうと、だんだんとフルートを吹くのが苦痛になってしまうので、簡単にできることをしっかりと毎日行うよう心がけてください。

それではまず、1時間という短い時間の中で効果的な基礎練習のメニューを考えてみましょう。

普段から意識しておくと良い練習は、以下の5つです。

  • 音階練習
  • アンブシュア
  • タンギング
  • 指の動き
  • ビブラート

これらの練習は、アスリートが筋トレをするような感覚で毎日トレーニングすると良いです。音階練習、アンブシュア、タンギングの練習を15分で出来る拙著『これだけ!フルートの日課練習 』を併用すると、さらに効果的に基礎練習をすることができます。




様々なアーティキュレーションの音階に加え、ハーモニクス、高音域と低音域でのタンギング、レガート、アンブシュアの柔軟性のための練習などを毎日15分でさらうことができます。

タイマーを準備する


フルートを練習していると、1時間はあっという間に過ぎてしまいます。

短い時間の中では、だらだらと同じことを繰り返し練習できません。

決められた時間の中で集中して練習するために、タイマーを用意しましょう。

スマートフォンの時計アプリの機能や、大きめの時計を用意して譜面台のそばに置きましょう。

録音してみる


初めは集中してできた基礎練習も、毎日繰り返していると飽きてきてなかなか集中して練習することが難しくなってきます。

そんな時は基礎練習をしているところを録音してみましょう。

基礎練習を録音してみることは、上達のための一番の秘訣と言っても過言ではありません。

自分ではできていると思っていたところが、録音を聴くと上手くできていなかったり、もっとこうした方が良いと感じるなど思わぬ発見があるはずです。

そして問題点が見つかれば、どのように改善したら良いかわかります。

録音すると緊張して疲れるので、大変な方は毎週決まった曜日に録音するのが良いと思います。

時間配分


では、以下のように時間を決めてタイマーを使って練習してゆきましょう。


10分 指の準備運動

20分 音階

10分 アンブシュア

10分 タンギング

10分 ビブラート


※『これだけ!フルートの日課練習 』を使って練習する場合、以下のような時間配分で基礎練習をすることができます。

10分 指の準備運動


10分 ビブラート

練習のやり方


ここからは、何を練習すれば良いかを具体的に書いてゆきます。

指の準備運動


楽器を持つ前に指をすると、練習が動きやすくなります。

結果的にミスが減るなど、時間を効率的に使うためにとても重要なのでぜひ準備運動をしてから練習されることをオススメします。


まず準備運動として、楽器を持たずに指を動かしましょう。

軽く手を握った状態から、指を一本一本上げてゆきます。


※動画ファイルの容量の都合上、画質が荒めになっております。

指の準備運動

指を一本ずつ上げたら、次は指を交互に上げてみましょう。

指の準備運動

ここまでスムーズに出来るようになったら、以下の記事にさらに詳しく書かれている方法を参考に指の準備体操をすると効果的です。


音階


これだけ!フルートの日課練習 』を持っていない方は、タファネル=ゴーベールの日課練習の第4番を使いましょう。


楽譜の上に書いてある10種類のアーティキュレーションで、全ての調をすらすらと演奏できるように練習します。

この方法は驚くほど上達する秘訣です。

全音階に効果的なアーティキュレーションやリズムをわりあてた楽譜は、以下をご参照ください。



この練習で最も大切なことは、ゆっくり吹くことです。

決して速く吹かず、綺麗な音で、まるで演奏会で美しい曲を演奏しているかのように一音一音を丁寧に音階を吹きましょう。

アンブシュア


アンブシュアの練習といえば、おなじみのロングトーンやソノリテが有名です。

実は音を長く伸ばす練習は、練習の初めに行なうにはあまり効果的ではありません。

モイーズ自身も、ソノリテは練習の後半でするように書いています。


アンブシュアのトレーニングのために有効な練習は、無音から入る練習と、音程の変化、そしてハーモニクスです。

まずはタンギングをせず、無音から音を出す練習をしてみましょう。

アンブシュアの練習方法
この練習をするときには、チューナーを使い、なるべく正確な音程で演奏するよう努めてください。

次の音域でも同じくタンギングせずに無音から音を出す練習をしてみましょう。

アンブシュアの練習方法

次は音程のコントロールの練習です。

楽器を出来るだけ回さず、唇のみで音程を変化させるようにしてください。

アンブシュアの練習方法

さらに、以下の音域でも同じく音程を変化させてみましょう。
アンブシュアの練習方法

最後はハーモニクスです。

ハーモニクスとは、一番低いドの指遣いのまま倍音を演奏する奏法です。

常に一番低いドの指遣いを保ったまま、唇のみで以下の音を出してみましょう。

アンブシュアの練習方法ハーモニクス

H管のフルートをお持ちの場合には、一番低いシの運指のまま次の通りに練習しましょう。

アンブシュアの練習方法ハーモニクス

タンギング


タンギングは速さよりも、はっきりとした発音をする方がはるかに重要です。

まずは中音域のソを、次のようなリズムで練習してみましょう。

ゆっくりとしたテンポ♩=60程度で、慎重におこないます。
タンギング
タンギング
発音する際に音が割れたり、ひっくり返ったりしないよう、常にクリアな発音を心がけます。

次は音域を変えて練習してみましょう。
タンギング

低い音域も、はっきりと発音する練習をします。
タンギング
発音が難しい高音域も、毎日しっかりと練習しておきましょう。
タンギング
タンギングの練習では、速さよりも美しく発音することをいつも心がけてください。

速いタンギングは、ダブルタンギングをすれば良いのです。

速いパッセージをシングルタンギングで演奏することにこだわりすぎて舌を壊した、アンデルセンのようにならないように気をつけてください。

さらに他のタンギングの練習方法は、以下の記事にまとめてあります。

ビブラート


ビブラートもちゃんとコントロールしてかけるためには、毎日練習する必要があります。

ビブラートの練習方法は、『ビブラートがすぐに上達する2つのフルート練習法』を参照してください。

また、『毎日のビブラートの練習方法』ではお腹の底から息を出すことにより、より太く良い音を出すための訓練にもなります。

終わりに


毎日の練習にちょっとした工夫を入れるだけで、半年後には驚くほど上達しますので、ぜひこれらのアイデアを取り入れご自分にあった日課練習方法を見つけてください。

この記事が少しでも参考になり、練習のお手伝いができれば幸いです。




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